さて、いよいよ日本語入力です。
日本語の入力は面倒です。 仮名漢字変換を使用するときは、 確定の操作をするたびにディスプレイを見なければなりません。 したがってタッチタイプは事実上不可能です。
噂によると、 プロのタイピストは仮名漢字変換プログラムの学習機能をオフにして、 各候補が出てくる順序をいつも一定にしておくそうです。 そうしておいたところで、 どの単語が何番目に出てくるかを記憶し、 その回数だけ無条件で変換キーを叩くのだそうです。 確かにこうすれば、 確定の際にいちいちディスプレイを見る必要はなくなりますから、 ひたすら原稿を見つづけてのタッチタイプが可能になります。
が、私のように怠惰な人間にとって、 どの単語が何番目に出てくるかを記憶するなどということは問題外です。 そんな面倒なことは絶対にやりたくありません。 ではどうすればいいでしょうか。
日本語入力における最大の問題は、 仮名を漢字に変換する過程にあります。 だったらわざわざ変換などせずに、 漢字を直接入力すればよいのです。
直接入力と聞いてすぐに思い付くのは、 文字コードを打ち込むという方法です。 たとえば「高」と入力したければ 3962 と打ち、 「橋」と入力したければ 3636 と打つ、 という方法です。 もちろんこれはあまり賢いやり方ではありません。 まず第一に文字コードを全部暗記しなければなりませんし、 第二に1文字入力するのに4ストローク (16進数で打ったとして) も必要になるからです。 とても私のように怠惰な人間には向きません。
というわけで、 私は T-code という入力法を使っています。 これはいわゆる2ストローク入力法の一つで、 各文字(平仮名、片仮名、漢字、その他)それぞれに 2打鍵からなるシーケンスを割り当てるというものです。 DVORAK キーボードを使っている場合、 たとえば「高」と入力したかったら 'ri' (QWERTY なら 'og')、 「橋」と入力したかったら 'lt' (QWERTY なら 'pk') のように打つわけです。 変換も必要なければ曖昧性もありません。
参考までに DVORAK 配列用の T-code マッピングテーブルと、 QWERTY 配列用 を作ってみました。 興味のある方はどうぞ。
T-code では、 よく使われる文字ほど打ち易いシーケンスが割り当てられています。 そのため、シーケンスと文字の間に意味的な対応はまったくありません (ゆえに T-code は無連想2ストローク法に分類されます)。 こう聞くと、 「それではとても対応が覚えられない」 と思う人が多いかもしれません。 が、実はそんなことはありません。 手で書くことを覚えるのに比べれば、 2打鍵のシーケンスを覚えることの方がずっと簡単です。 それに必ずしもすべてのシーケンスを覚えなければならないわけではありません。 よく使われる漢字の数はかなり限られていますから、 それだけ覚えればいいのです。 打てない場合はひらがなを使えばいいのです。
また T-code のパッケージには、 入力を補助するための便利な機能がいろいろ付いています。 打てない漢字に対してだけ一時的に仮名漢字変換サーバを呼び出すとか、 偏と旁から漢字を合成するなどといったことが可能です。 詳しくは T-code のホームページ を御覧下さい。
なお、T-code の文字頻度データは新聞記事から採取したそうです。 このため、たとえ基本的な漢字であっても、 新聞に現れることの少ない文字にはストロークが割り当てられていません。 そこで、 日本の小学校で習うことになっているすべての漢字と、 都道府県名に用いられているすべての漢字が2打で入力できるよう T-code表を拡張(DVORAK用) してみました( QWERTY用 はこちら)。 また、 普段ほとんど使うことのない漢数字ゼロ「〇」とダッシュ「―」は、 それぞれ右矢印「→」と3点リーダー「…」で置き換えました。 現在使用感を試していますが、なかなかいい感じです。
T-code 以外にも日本語用の無変換漢字入力方法はいろいろありますが、 今私がポインタを示せるのは TUT-code と NIK-code (にこにこ) の2つだけです。
TUT-code は T-code 同様の無連想直接入力方式ですが、 かな文字の配置に規則性があって簡単に覚えられるため、 新たに始めるにあたっては T-code よりも心理的な敷居が低いと思われます。
また NIK-code (にこにこ) は、漢字をその構成要素に分解し、 個々の要素にキーを割り当てることで変換なしに日本語を入力するというものです。 万一入力シーケンスを忘れた場合でも、 実際の漢字の形状や筆順を手がかりに思い出すことができるため、 無連想方式に比較して短い時間で修得できるという特徴があります。 なお残念なことに NIK-code のホームページ は、なくなってしまったようです。