最近アラビア語を学び始めました。 本来ならば単語や例文をノートに書き写して覚えるのでしょうが、 怠惰な私は手書きを嫌い、 Emacs-bidi を使って教科書を打ち込むことにしました。 最初はラテン転字に基づいた入力や、 一般的なアラビア語キーボード配列に少々手を加えて使っていたのですが、 どれも今一つ気に入らなかったので、 独自の配列を決めることにしました。
まず、 ラテン転字が自明な場合は、 DVORAK キーボード上で対応する位置に配置します。 これは効率というよりは記憶を助けるためだったのですが、 使い心地は意外に悪くありません。
| ラテン文字 | アラビア文字 |
|---|---|
| b | baa |
| t | taa |
| j | jiim |
| d | daal |
| r | raa |
| z | zaay |
| s | siin |
| g | ghayn |
| f | faa |
| q | qaaf |
| k | kaaf |
| l | laam |
| m | miim |
| n | nuun |
| h | haa |
| w | waaw |
| y | yaa |
次に残りの文字を、 おおむね頻度の高いものほど打ち易いように配置します。 文字の出現頻度情報は現在使っている教科書に基づいているので、 必ずしも正確ではないかもしれませんが、 ある程度の目安にはなると考えられます。 ただし、 すべての文字を割り当てるにはキーの数が少々足りません。 そこで、 出現頻度の低い文字のうち他の文字とペアを成すものは、 そのペアの文字のシフト状態に割り当てます。
| ラテン文字 | アラビア文字 |
|---|---|
| e | alif |
| u | alif with hamza above |
| o | alif wasla |
| a | ain |
| i | taa marbuta |
| c | shiin |
| v | Taa |
| p | Haa |
| ' | dhaal |
| ; | thaa |
| x | khaa |
| / | hamza |
| ラテン文字 | アラビア文字 |
|---|---|
| " | DHaa |
| S | Saad |
| D | Daad |
| W | waaw with hamza |
| Y | yaa with hamza |
| E | alif maqsura |
| U | alif with hamza below |
| O | alif with madda |
通常のアラビア語は子音字だけで書かれますが、 私が打ち込んでいるテキストは初心者用の教科書なので、 ほぼすべての子音字に母音記号が付いています。 したがって母音記号がスムーズに打てることが重要になります。
そこで数字キーの部分、 つまりキーボードの最上段に各種母音記号を割り当てこるとにしました。 アラビア語の数字(インド数字)は、 同じキーのシフト状態に移ってもらいます。 これによって各種 ASCII 記号が使えなくなりますが、 そのような記号は初心者用教科書のテキストにはほとんど出てきませんので、 まず問題はありません。 なお、数字をシフト状態に移し、 空いた場所に追加の文字を割り当てるという発想は、 フランス語の AZERTY キーボードから得たものです。
どの母音記号をどの位置に割り当てるかは、 上記の頻度情報を元に決定しました。 母音記号の打鍵に関しては、 右手と左手の使用頻度が大体同じになるようにしてあります。 また最上段はホームポジションから遠いので、 一番長い中指から順に使用頻度の高い母音記号が来るようにしました。
更に数個の記号を追加して完成した独自配列を以下に示します。 まずはシフト無しの場合です。
次にシフト状態です。
なお、 フランス語とドイツ語の入力 でも述べたように、シフトキーを押しながら別のキーを打つことは、 2つのキーを連打するよりも面倒です。 そのためシフトを押し続ける代わりに、 バックスラッシュを前置しても同じ文字が入力できるようにしました。 この配列は Quail パッケージ として実装されています。
さて、ここまで来たことで、 Emacs コマンドが効率よく打て、 英文が楽に書け、 フランス語とドイツ語が同時に使え、 2700 以上の漢字が変換なしで入力でき、 アラビア語が楽に打てるようになりました。 これで「町内一過激なキーボードカスタマイズ」は終了です。 私は実際にこの設定を日常的に使用しており、 快適なキーボードライフを楽しんでいます。 もし興味を持たれたなら、 このキーボードのバーチャル版 を試してみて下さい。 試してみてもあなたのマシン上の設定はまったく変わりませんので、 その点は御安心を。
また、もしあなたが 「ふん。俺の設定はもっと過激で便利だぜ」 と思うなら、 遠慮せずにかかって来なさい。 もちろん私は自分の設定が町内一過激だと思っていますが、 もしこれ以上に便利な設定があるのなら節操なく乗り換える用意があります。
最後までお付き合いいただき、 ありがとうございました。